気の赴くままに展覧会を覗いているうちに、深遠な日本画の世界の虜になってしまいました。一体、日本画は世界の美術の中で、どのくらい認識されているのだろうかと疑問を抱くのですが、残念ながらそれ程ではないような気がします。世界の中では日本画の存在すら知らない人がたくさんいるようです。ましてやその素晴らしさを理解できる人は、今のところごく僅かでしょう。
しかし日本画のもつ表現の豊かさ、情感の深さはやがていつかは世界中の人々に理解される絵画になるだろうと思います。
かつて浮世絵が、当時の日本独特の世相を表していながらも、そのまま世界に受け入れられ浸透していったように、現代日本画の中からも世界の名画の中に名を連ね、評価される日が必ずやってくると信じています。
そんなことを考えながら、昭和以降生まれの日本画家の作品に絞り、出来るだけ多くの画家、広範囲の画題にわたり作品の収集を重ねて様々な作品と作家との触れ合いの中で、千点以上に及ぶ作品が手元に集まって参りました。
このコレクションの作品の中から、後世に世界的な画家となるような人が出てきてほしいと勝手な期待をしております。
そのためには、「世界中の多くの人々に日本画を鑑て識っていただくこと」が大切でしょうし、何よりもまず「日本人がもっと日本画を鑑賞し、理解しなければならない」と思います。そんな想いをもって、心ゆくまで日本画を鑑賞できる専門の美術館を造ってみました。
規模は小さいですが、館のマネージメントに力を注ぎその目的を果たしたいと考えております。そしてあくまでコレクション中心であること、観客にやさしいこと、作家のためになることを基本といたしました。
心血を注いで描きあげられたこれら現代日本画家たちの仕事が、鑑てくださる方々の心に響き、さらには何か新しい息吹の誕生につながればと願っております。